ヘンプシードの栄養効果

ここではスーパーフードであるヘンプシードの栄養効果について述べています。ヘンプシードにはタンパク質、必須脂肪酸、ミネラル類、食物繊維などが豊富に含まれています。

 

ヘンプシードはまず、非常に優れたタンパク質源であるため、アミノ酸を効率よく体内に吸収することによる健康効果が期待できます。

 

タンパク質というと、肉や魚からの摂取が望ましいとされていますが、肉や魚からタンパク質を摂取した場合、全てがアミノ酸として体内に吸収されるわけではなく、さらに家畜の化学肥料によるエサや抗生物質といった使用による生育環境の、私たちの健康面に対する影響も懸念されます。

 

『スーパーフード』(医道の日本社)のなかで、デイヴィッド・ウォルフ氏は「動物性食品の摂取は過剰なコレステロール、飽和脂肪酸、体重増加などの副作用があるほか、品質や味も悪く、人口化学物質(農薬、ホルモン注入、動物ワクチン接種など)を使用しているため、重大な問題となりつつあります」、あるいは「工場畜産による牛肉、鶏肉、魚はタンパク質含有量が少なく、脂肪や毒性が高いのです」とし、動物性食品からのタンパク質の摂取を問題視しています。

 

その一方で「ヘンプシードの頑健さと豊富な栄養は、人類が抱えるタンパク質の必要性や飢餓問題への対処に大きく寄与できます」と述べており、ヘンプシードはゴジベリービーポーレンスピルリナユーグレナなどと同様、現代における貴重なタンパク質源であることを窺い知ることができます。

 

ヘンプシードは必須脂肪酸が豊富

 

また、ヘンプシードの特徴としては、必須脂肪酸がバランスよく含まれていることも注目に値します。

 

健康を維持するために必要不可欠な必須脂肪酸は体内で基本的に作られないため、食事によって摂取していかなければなりません。その種類にはオメガ3(DHA・EPA・α‐リノレン酸)とオメガ6(リノール酸、γリノレン酸)が存在しますが、ヘンプシードにはオメガ3とオメガ6の割合が、1:3や1:4と、理想的なバランスで含まれています。

 

さらにヘンプシードには珍しいγリノレン酸が含まれています。このγリノレン酸は、抗炎症作用をもつといわれており、アレルギーの抑制やアトピー性皮膚炎を緩和したり、関節リウマチ、PMS症状、更年期障害を軽減したりする効果が期待されています。

 

それに加えて、ヘンプシードはミネラル類も豊富です。ヘンプは土壌からミネラルをよく吸収するため、ヘンプシードは主要ミネラルと微量ミネラルの優れた供給源となっています。

ヘンプシード

ヘンプシードの免疫系に作用する働き

ヘンプシードは「グロブリン生成素材の最も優れた供給源」であると、ローフードのカリスマ、デイヴィッド・ウォルフ氏は『スーパーフード』のなかで述べています。

 

グロブリンとは、アミノ酸だけで構成される単純な球状タンパク質のことです。

 

ヘンプシードの65%以上は、グロブリンタンパク質のエディスチンであり、残り35%はアルブミンです。エディスチンもアルブミンも食べやすく消化しやすいタンパク質の形態だと考えられています。


エディスチンやアルブミンの含有量が高いヘンプシードは、「グロブリン生成素材の最も優れた供給源」であり、免疫グロブリンを作り出す力があるといいます。

 

グロブリンにはアルファ、ベータ、ガンマの三種類があり、これらのうちの特にガンマグロブリンは免疫系に作用するため、免疫力を維持したり、免疫力を高めたりするのに、ヘンプシード特有のタンパク質は有効だと考えられます。

ヘンプシードはミネラル類も多い

 

ミネラルは骨などの体の組織を構成したり、体の調子を整えたりする働きがありますが、現代においては、加工食品の増加によりミネラルがきちんと摂れていない人が増えています。また、野菜や果物のミネラルの含有量も、農薬が化学肥料が使われることによって、年々減ってきています。

 

しかし、ヘンプシードには、鉄分、マグネシウム、亜鉛が特に多く含まれており、スプーン大さじ3杯で1日に成人が摂取する量がカバーすることができるとされています。

 

そのほか、ヘンプシードには不溶性の食物繊維も豊富に含まれています。不溶性の食物繊維には腸内をお掃除して体外に便として排出するデトックス効果や、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促して便秘を解消する効果があります。もし便秘が長引いてしまうと、体調不良や万病の元になりますが、ヘンプシードに含まれる不溶性の食物繊維には、その便秘を防ぐ働きがあるのです。

ヘンプシード

スーパーフードであるヘンプシードはそのままのものや、脱穀済みのもの、ヘンプシードプロテインやヘンプシードオイルなど、様々な製品から摂ることができます。ヘンプシードのタンパク質をより効率的に摂りたい方は、ヘンプシードプロテインを、γリノレン酸などの必須脂肪酸を摂りたい方はヘンプシードオイルを選ぶと良いでしょう。そのままでも美味しいですし、サラダやドレッシングにもよく合います。